第10回特別講座参加者感想文

「エネルギーの地産消へ、おひさまファンドで発電、運営を自分たちの手で」

・市民共同発電に市が何も考えていないわけではないことがわかった。むしろ担い手となる市民と出会えていない我々の側の力量にも問題があると感じた。
・従来の再生可能エネルギー推進策が、持ち家で設備を設置できる財力のある層に対象が限られているということをあらためて認識し、あらゆる人が参加できる形(出資など)を構築していく必要があると感じた。「市民は機会があればやりたいと考えている」という参加者の意見が印象的だった。
・講師の秋山さんが、議会や議員との接触が日常的にほとんどないというのが意外だった。
【辻浩司】

今回の特別講座では、まさに今後のエネルギー問題の”見えるか化”ができたかと思います。
しかしながら、同時にその問題解決には多くのハードルがあることを認識しました。
自家発電の売電を市民が積極的に進めることにより他方では、恩恵を受けられないどころか買電価格の高騰というような、いわばマイナスの恩恵を受けてしまい市民も出てくる。
この問題は、今特に言われている”選択”と”集中”が必要であると感じました。
公共の福祉に資する判断をしっかりと行うためにも、市民一人一人の当事者意識が必要であることは明白ですが、他方では一定のコンセンサスがとれた方法論においては、市民・議会・行政が覚悟を持った対応をしていかなくては物事を進めていくことは難しい。
【大塚洋幸】

反原発運動からの新しいアクセスの仕方で、非常に受け入れやすい内容だったと感じています。旧来の活動のように悪い部分をついて広げていくやり方では限界があり、一般の人には受け入れがたかった事が、だれにでも参加でき、自分達の未来を子供たちと一緒に選択していく姿には理想的な物を感じています。
その中でファンドなどの活用で地域にいかにお金を落としていくのかを模索している事が分かりましたが、今のおひさまエネルギーの活動では資金調達面の課題よりも、出資者、受益者、地域の結びつきをいっそう強めた方がいいと感じます。具合的には1年に一回のエコの勉強会に地域のお祭りやイベントを組み合わせて懇親会のような形で行い、金銭的サービス以外での利益を分配することが望ましいと思います。
太陽光発電事業は参加に資金面や知識面で障害が多く簡単では無いため嫌煙しがちだったが、今回の形であれば自分でも入っていく事が出来るという話題から、だれでも参加できる「しくみ」の重要性が話された。その中でファンドなどによる、お金だけでの参加に異論を投じたところ、受け取る受益が金銭的な物よりも、子供たちからの絵葉書や、懇親会などによる、つながりを重視する方に考え方が運び「豊かさ」の感覚に新しい視点が加わりました。
全体を通していえることは、コンセントの先にある物が共通認識となり、今までの無関心への反省、そして、これからのエネルギーの在り方には「自分達で選択する」が総論で合意されたと感じています。
【岡田英夫】

お話を聞いていて、まず思ったことは、東日本大震災が発生するまでは、どこで電気がつくられているかなど考えたことがなかったことを再確認しました。多少の節電意識はあったものの、計画停電などを経験し、電気について以前とは考え方が変わってきていると思う。公共施設や町中そしてデパートなど以前に比べ照明などを落としているが、それにも違和感を感じなくなってきています。
セミナーを聞き、みなさんの意見を聞き感じたことは、再生可能エネルギーには関心があり、そして太陽光発電については積極的であると感じました。しかし、自宅の屋根に太陽光パネルを設置するとなると費用面などでなかなか設置にまでは至らない事もあると感じました。しかし、手法はいろいろ考えられますが、これだけ関心のある方々がいる、そして市民にもっともっと広報をすれば賛同がえられるのではないかと感じました。たとえ一人1,000円でも寄付をいただき、共同で太陽光発電に参加できることが、見えてきたと思いました。そして、保育園や学校などに設置し環境教育にも活用できることは素晴らしいと感じました。
お話の中にもありましたが、だれもが参加できるシステムの構築と地域の理解がいただける周知・広報が必要だと感じました。
【武藤智】

今回のテーマである「エネルギーの地産地消」ということについて、政経セミナーのマニフェストの1つである「新しい公共」との関係で考えたいと思います。
従来は、10電力会社やその他の発電会社が発電・送電を独占し、ごく一部の自家発電(企業・個人)以外は電力会社から電気を買うことを余儀なくされてきました。つまり、公共サービスを官が独占的に提供をしてきたといえます。
 それが、太陽光発電の個人での設置や、事業者による発電・売電の取組みが急速に進み出しました。きっかけは東日本大震災ですが、公共サービスの担い手に民が育ち始めたといえます。
 しかしながら、この動きが今後も拡大をしていくかというと、2つの問題があろうかと考えます。
 1つには、実際の太陽光発電の設備が、本当に長期間利用が可能かどうか、メーカーが長期間の保証を本当にし続けることが出来るかどうか(メーカー、あるいは設置業者が今後の業界の流れの中で将来も存在するかどうかという点も含めて)、という点です。
 もう1つには、もし単純に太陽光発電を導入すると利益が出るだとか、あるいは単純な脱原発という発想などから、太陽光発電やそれ以外の再生可能エネルギーを我が家にも導入しようということでは将来的には拡大はどこかの時点で止まる可能性があるのではないか、という点です。これは動機が単純な場合、何かの要因で考えが簡単に変わることがあるからです。
 新しい公共を考える際に、官から民への動きは、民の側の自発的な意識変革があって始めてその実効性が高まると考えます。官がお膳立てをして、民へ委託をするのではなく、民の側がそれを必要としだからそれに取組む、という構図でなければ本当の意味では広がりません。
 その意味では、買取価格が高いからとか補助金が出るからとかの、いわば官の側の都合に応じるという観点での動機ではなく、将来の社会のあり方を考えて温室効果ガスの排出抑制に個人としても取り組んで持続可能な社会づくりを目指そうだとかの意識、を持つことが重要であるし、そういった視点を広めることが大切であると思います。
 特に、セミナーに参加した人たちからは、自分達も何かをしたいという気持ちがあるがどうすれば良いか分からないという声も聞きました。こういうことが出来ますよ、こういうことをしたらどうですか、と単に行動内容だけを教えて実行してもらうのではなく、それをするとどうなるか、という意義も一緒に説明をすると、より動機が高まり考えが広まっていくだろうと思います。
 どちらかといえば今回は、「新しい豊さ」的なセミナーであると考えた一般会員の方も多くいるかと思いますが、「新しい公共」的な視点を持つと自分たちの関わり方についての考えも変わるのではないかと感じました。
【菊地貴光】

今回の特別講座「エネルギーの地産地消へ」についての感想ですが初めのうちは太陽光のセールスを聴いている感じがしました。ですが保育園への設置、環境教育、節電という事から「もったいない」、「当たり前ではない」と云う事を伝えたいのではと感じました。又、幼少期から「もったいない」、「当たり前ではない」と云う事を伝える事で子供たちの未来へ種を植えているのではとも感じました。しかし、太陽光を設置した際の電気料金の比較のお話を聞いた際、受け止め手によっては金銭への損得で判断するのではとも思いました。後、運営は寄附で行っているお話を聞いた時、太陽光のメーカーからも寄附はあるのかと疑問もありました。太陽光設置の補助金については予算額を公表し、太陽光、風力等どの発電方法に補助金をつけるのかパブリックコメントを取ってみるのも面白いのではと思います。グループ討議については座長の私の力不足により発表者がなかなか決まりませんでした。又、私自身印象に残っている意見として「皆さんは太陽光を設置すると電気料金が安くなる上、売電により収入があるのに太陽光を設置しようと思わないのは考えられない。」と云った様な意見がありました。後、「太陽光設置に対し補助金をつけるなら越谷市内の業者に依頼する条件をつけたら事業税納入等で市内でお金がまわるのでは」とか、「大手ハウスメーカーは自社の物件にあった太陽光がある為、市内業者への依頼は難しいのでは」等の意見もありました。最後に目先の金銭的損得勘定だけで判断するのではなく、総括原価方式等の電気料金の仕組みを知ったり、自分はどれだけの電気を必要とするのか考える事も必要と感じます。又、前に聴いた原発のある場所に住む家族の子の話ですが「お父さんは出稼ぎで家族揃ってご飯を食べられなかったが原発のおかげで、お父さんも帰ってきて家族揃ってご飯が食べられる様になり嬉しい。」と云う事も知りました。この事から電気に関しては太陽光が良いのかどうなのか、得する得しない等、白か黒、二極論で判断するのではなく様々な事柄を踏まえて考えなくてはならないのではと改めて思いました。
【小口高寛】

1)3.11以降、国内のすべての生活に関わる変化が否応なく従来のままでよかったのかを問い直したと思います。越谷においても、旧来のシステムを見直し、うまくコンパクトにしていく政策への変換が求められているのだと考えられます。
  その意味で越谷における自然エネルギーへの取り組みは、他地区のモデルになるほど、積極的な動きを示しているとは言えず、むしろ一応取り組んでいるとして、その序列から遅れないような保険を掛けた状態ではないかと映りました。
2)第2期の講座は、地域力・市民力のありのままを可視化して、越谷においてすでにその努力をスタートさせている観光農業の実態とその思いを共有しました。
  今回、太陽光発電への取り組みへの実態は、さらに3.11で問われた市民自身の責任と役割という関点から旧来のシステムから、新しいシステムへの転換を考えるというところでは、切り口の違いはあるとしても共通するものと考えています。
3)今回も前回同様、講師にその道で努力している専門分野のスピーカーと行政の担当責任者が同列で市民との対話に参加するという分かり易さが出たと考えています。
  また、後半のグループディスカッションでは、秋元講師が参加した関係もあり
  さらに詳しく管理・運営面の質問や課題にもお答えいただきました。
  短時間ではありましたが、司会としてマネージできたか、参加者の思いを聞けたかが、さらに課題として残っています。
【西川孝一】

まちづくりの視点から、特に地域の中でお金を回すということが大変参考になった。グループ討議の中で、約半数の人が太陽光発電を設置又は設置検討していることが分かり、大変驚いた。そこまで実行する所に進んでいるとは思っておらず、討議がうまく進むかどうか心配していたが、個別の住宅での設置対応が進み、市民共同発電所への取り組みが検討されているので、話が前に進んで行った。設備投資の回収に何年かかるかが設置判断のポイントだが、そこが固定価格買取制度の導入で早期化されていることが大きい。自治会館への太陽光発電の設置を考えている人がいて、これからの自治会内での合意形成に注目したい。
【岡村宣夫】

まず、原子力発電が良くないから太陽光発電に切り替えるのではなく、エネルギーを自らで作ろうとしている姿勢が、講義後のディスカッションにて世代や思想、会派を越えて考えることが出来良かった。
また、エネルギーを作ることのみならず、環境教育に繋げている点から、幼少の折からエネルギーについて考える場が出来、そこから保護者、地域住民と繋がり、地域エココミュニティが作り上げられて行くことは理想だと思う。
アパートやマンション、賃貸などに居住し、太陽光発電パネルが設置したくとも出来ない方も利用出来、設置出来るにしろ費用が膨大なので、自治会館などに住民がお金を出し合って付けるというのは良い。しかし越谷市だけではないが、そもそも自治会に参加していない住居者も多い中、参加者を集めるのは容易ではないだろう。高齢化が進む今、自身だけで設置から収益を上げるまでの道程を調べ考えることは難しい。行政側が出向いて自治会などへ呼び掛け、地域で発電することの必要性や方法などの説明支援をすることは必要だろう。政経セミナーとしては、今回この会に参加して興味を持ちやってみたいと思った方がいたようなので、講演状況の録画をインターネットで流したり、頂いた感想を公開することが、次回参加者に呼び掛ける際に利用できるのではないだろうか。
【名倉瞳】

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