第2期「第15回政経セミナー特別講座」報告書
H26.4.14
・日時 平成26年3月2日(日)午後1時45分
・場所 越谷市中央市民会館4階 第16・17会議室
・テーマ そこが知りたい!越谷市議会
~会派を超えて議員同士がフリートーク~
◆テーマ報告
①中核市になるとどうなる?―中核市移行の意義と課題:辻 浩司議員
・中核市になると、県が行っていた事業を市で行うことができるため、住民に身近なところで行政サービスが行われるメリットがある。
・課題は中核市移行を知っている市民が13.7%しかいないことがひとつ、市の職員が増員されることによる人件費の負担増分は、地方交付税がその分増えるため、市長は移行に伴う市民の負担はないと言っているが、交付税は満額貰えず臨時財政対策費の形で市が一旦借金をしなければならないこと、また保健所の建設費(Ⅰ3億円)、第3庁舎の建設費(18億円)は市の負担であることが挙げられる。
②第3庁舎建設と本庁舎耐震化は?:江原千恵子議員
・中核市移行による職員増員のため、市役所スペースを増やす必要があることから、第3庁舎建設は一昨年9月議会で設計費の補正予算措置として唐突に議会に提案された。本来は年度予算に計上すべきであった。市長はあくまでも事務スペースの確保であるため、市民の合意は不要としているが、自治基本条例に定めた情報の共有に抵触しているのではないか。
・県内の庁舎で最も耐震強度が低く、震度5強で崩壊する本庁舎の耐震化対策は、別途立ち上げられた本庁舎整備審議会で単独に検討されているが、第3庁舎を含めて一体でグランドデザインの検討が行われなければならない。議会では第3庁舎の市長提案に10人の議員が反対票を投じた。
③議会改革はどこまで進んだ?:武藤 智議員
・議会への市民参加を進めるため、昨年11月に第1回議会主催の市政報告会が行われた。
・正副議長選挙が立候補制に改善されたが、議長任期:1年の慣行には手がついていない。
・予算、決算委員会へのライブ中継の導入は合意されたが、その方法については全会派のコンセンサスが取れていない。
・各議員の議案への賛否状況が議案ごとに公表され、表決方法が挙手から起立方式に変更された。一般質問が一括質問から一問一答方式に変更され、委員会も同様となった。
・議員報酬、議員定数の見直しに関しては、有権者の意見を聞いて検討を進めたい。
④越谷初!市民共同発電事業スタート
・大袋幼稚園の屋根に市民による共同発電事業として、4,4kWの太陽光発電設備が設置された。設備投資額200万円の半分が県の補助金で賄われ、残りの半分は市民からの募金活動が行われ、昨日の点灯式の時点で105万円に達したことが報告された。
・60年前の1954年3月1日は、ビキニ環礁で水爆実験が行われ、同時に核実験禁止運動が開始された歴史的な日である。その後我が国は原子力の平和利用を掲げて原発推進に向かったが、3.11原発事故を契機に、旧来の大規模で中央集権的な電力供給システムをベースにした生活習慣への反省から、市民による小規模分散型システムへの転換、エネルギーの地産地消に向けた動きが活発化し始めている。
・地域のエネルギーを自分たちで作ることにより、地域共同体の課題に市民が主体的に取り組み、「未来に希望のプレゼントを残そう」という方針で進めたい。
◆パネルディスカッション・質疑応答
・中核市移行、第3庁舎建設、本庁舎耐震対策についての賛否が分かれる中で、市長提案に賛成した辻議員から、提案の手続き上の問題はあるものの、その内容が越谷市にとって必要なものであるとの判断で賛成した旨話された。
・一方で第3庁舎に関しては、例えばツインシティーの借用案が提案されたが、十分な検討が行われず、市民の利益が守られているかどうかは確かではない。複数の選択肢が示された状態で、判断を市民に求められなければ、住民参加・住民自治には繋がらない。このような議案の賛否を巡る議論が議会の中で行われるように、議会改革が行われなければならない。
・議会改革は一定の進捗を見せているが、議長選挙のマニフェストが市民に公開されないこと、議長任期が1年のままであることは変わっていない。議長選挙が市民不在の場で議員間の権力闘争の場になっていることが市民との情報共有を阻害し、市民・議会・市長の三者の関係で行われる自治の機能が発揮できなくなる要因になっている。
◆グループ討議
・前段のテーマ報告、パネルディスカッション、質疑応答を受けて5グループによる討議が活発に行われ、各グループの代表者から報告が行われた。
◆まとめ
・市政の情報が市民に共有されていない現状を改善するために、議会は市政報告会等で説明責任を果たすと同時に、市民と議員が同じ目線で話し合うことができる場として機能させることが求められている。
・安倍首相は、私たちが戦後向き合って来なかった問題を国民に問いかけている(秘密保護法は必要なのか? 集団的自衛権は憲法の枠内で扱えるのか? 消費税の増税は本当に社会保障のために使われるのか?)。高橋市長の発言も同様であり、市民に考えるべき問題を投げかけている(第3庁舎は市役所職員が使うので、市民の意見を聞く必要がない。敬老祝い金を削減する必要がある)。これらのことを市民がまちづくりを考えるキッカケにすることが求められる。社会がズルズル後退していると考えるのではなく、様々な「新しい現実」が生まれていることをどう考えるのかというスタンスで対応する必要がある。
◆今後の予定
・「おひさま発電」の募金運動はこのまま3月末まで継続する。
・次回特別講座は4月26日(土)18:30 テーマ「高齢社会を人間らしく生きるために」
・6月頃に政経セミナーが提唱した『統一ローカルマニフェスト2011』の3年目の市民検証大会を行う。
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