PDFファイル⇒5.25政経セミナー報告書(白川)
埼玉政経セミナー主催のシンポ「「我ら統一地方選挙をかく戦う」を開催
5月25日(土)、越谷市中央市民会館を会場に、埼玉政経セミナー主催の「市民が設定する市議選挙の争点とは パート5」として「我ら統一地方選挙をかく戦う」が開催され、議員や市民など約20名が参加した。
討論の柱として①何故立候補したのか、(市民は何故応援したのか)②選挙のスタイルはどうしたのか(旧来とのスタイルとの対比)③公約・マニフェストの策定及び伝え方はどうしたのか(争点設定を含めて)④選挙運動の以前、最中、選挙後議員と市民との関係はどのように深まったか等の観点から論議が展開された。
まず市民団体代表の吉田理子さんが司会を担当し、殆どの市民は、このままでは社会も生活も未来も迎えることが出来ないだろうと、感じている。この共通認識の中で、どの様な未来社会を作り出すのか、問題意識の共有化を図って行きたい、と挨拶から開始。
まず政経セミナー代表の白川秀嗣越谷市議の挨拶。
今回の市議選挙の特徴は、史上最低の低投票率(全国平均は46%、越谷市は35%)と、都市部の複数定数の選挙区でも無投票が目立ち、また相変わらず選挙期間中の候補者による名前の連呼と検証出来ない抽象的なスローガンが喧伝された。
今回から、選挙期間中に法定ビラを有権者に配布出来る様になったのは、大きな前進ではあるが、各候補者の政策、特に現職候補者は4年前の公約の検証(実現出来た公約だけでなく、実現出来なかった公約を含め)を掲載している者は極めて少数だった。
そのため、低投票率と政治不信がさらに広がった。今日のシンポではこの様な状況から選挙公約をテーマとして市民と議員、行政との関係性をどの様に変えて行くのか話し合いたい、と強調された。
パネラーには越谷市在住で脱サラで農業を営む岡田英夫さん、さいたま市議に初当選した出雲けいこ市議、コメンテーターに埼玉大学の財政学者の高端正幸先生、千葉県野田市の前市長の根本崇さんを含め5人の発言を中心に論議された。
出雲市議は、立候補の理由として前回投票した市議と選挙後意見交換してみてがっかりしたことから、自分がやった方がいいと思い立候補した、と。
吉田さんや岡田さんは政経セミナーの活動の中で市民間討議を通じて今回の市議選に向けて市民マニフェストを、約半年をかけて作成し市民マニフェスト(市民が創る、地域の未来2019)の発表会も開催した。
これまでの様に政党や候補者だけで策定されるマニフェストでは、市民は常に選ぶ側に立たされ、マニフェストは与えられるものとなっている状況を変えようとした、発言。
さらに、岡田さんは人口減少時代に山積する地域問題の解決ための政策を実行するには、市民税や固定資産税による増税で財源を示すべきだと訴えたことを報告された。
これに対し高端先生からは、スウェーデンの例を挙げて、政党が減税政策を出した時には、有権者は公共サービスの何を削減するのかと批判が出てくる。
日本での税金は払いっぱなしで、自分たちの生活には反映されないという意識をどう乗り越えていくのか、国政でも自治体でも大きなテーマだ、と発言された。
根本前野田市長からは、地方の議員のなり手不足の原因の一つは報酬が低く、また議員年金廃止によって若い候補者が立候補出来る条件が整備されていない、と発言された。
これらの発言受けて全体の討議に入った。
出雲議員は、選挙期間中に公園で花見に来ていた子どもづれのママ達に、グループ毎に端から順次話し掛けていった。話題は算数セットの共有や地震の際、学校で子ども達が上履きを使用していると、靴入れが倒おれ避難の遅滞や危険性があるので、土足にする、と話した。
これに対し算数セットは全員が賛成してもらえたが、土足の方は賛否が分かれた。
そのため、当選した後賛否が分かれる公約の実現には、市民への説明や共通認識の涵養とともに、議会での多数化の形成が必要となるため、そのためのマネージ力が試される、との指摘があった。
また、今回同じ様に初当選した野々口白岡市議からは、そもそも立候補するには若すぎるし、女性でだめだと回りから苦言されたが、解決すべき地域課題も見えていたので立候補したと発言された。
この様な話を受けて会場からは、主権者教育を始め行政による日常の運用は、市民の新しい提案や参加に対して形式的な対応が目立つことが話題となった。
野田市ではすでに常設型の住民投票条例を制定しているものの、市民の関心は薄く活用されていない状況が報告され、条例制定もその運用も市民が参加し、納得していくプロセスが大切であることが全体化された。
自治の当事者性の涵養を進める中で、暮らしの問題をマニフェストに落とし込み、地域の政策として解決するためも増税も視野に入れないと制度設計や運用はできないという現実に直面している。
その観点がなければ目の前の問題を私事として政治家に頼み、依存と分配のスパイラルに陥る。加えて、暮らしの問題を地域の政策として普遍化して実現するにも周囲の人々の意識改革を進め、多数派工作も必要であり、そのために自治基本条例を使いこなすなど様々な策を講じる必要があることが議論された。
最後に白川代表から、地域の困りごとに向き合うためには、まず市民自身が自分ごとから私たちごとにして行く事が大切。そのためには議員や行政との話し合いをすることから始め、解決に向けた小さな成功体験を通して、市民が受益感を持つ場面を多くつくりだしましょう、との呼びかけで集約となった。
シンポ終了後、参加した議員や市民と懇親会が開催され、7月の参議院選挙や8月の埼玉県知事選挙に向けて、より一層市民同士の連携を強化することを確認した。
次回は7月に「参議院選挙・埼玉県知事選に臨む、市民の責任」(仮題)をテーマにしたものを準備中。
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