第2期第16回政経セミナー特別講座 講演録

第2期「第16回政経セミナー特別講座」報告書
H26.6.11
・ 日時 平成26年4月26日(土)午後6時30分
・ 場所 越谷市中央市民会館5階 第4・5会議室
・ テーマ 超高齢化社会を地域でどう受け止める?
 <パネラー>
川田虎男・聖学院大学講師
伊藤節子・アピアランスセンター代表
砂原邦彦・越谷市高齢介護課副主幹
<コーディネーター>
江原千恵子・越谷市議会議員
第2期「第16回政経セミナー特別講座」

報告書PDF⇒第16回特別講座・報告書

◆パネルディスカッション
① 超高齢社会を生きる:川田虎男・講師
 ・日本の高齢化のスピードは世界最速である。
  *高齢化社会(7%)→超高齢社会(21%)の年数
日本;24、米:69、独:42、スェーデン:82
・長寿社会の何が問題か:社会保障費の歳入が歳出の伸び(1兆円/年)に追いつかない。
・困った時の対応の仕方:①自助・②共助・③公助
        採用国: 米国・ 日本・ 北欧(スェーデン)
      負担/福祉:低/低・中/中・高/高
・日本は②共助の社会を目指すべきと考えているが、国・自治体のあり方は住民の意思によって決められる時代になった。
・社会福祉協議会が本来機能を果たすことによる成果の期待感がある。
*初期の目的は、困っていることがあれば支えることにあり、そのために何をやっても良い。
*実態は乖離しているが、ここが本来機能を発揮しなければ高齢化社会は乗り切れない。

② 粉を使った化粧サービスの実演
:伊藤節子・アピアランスセンター代表
・外見が心に与える影響が大きい。顔に化粧することは心に化粧すること。
・高齢者施設で清潔第一のサービスを行っている。
・化粧をされた人が元気になり喜んでいる姿は、サービスした人にそれにも増した元気と喜びを与えている。
第2期「第16回政経セミナー特別講座」2

③ 越谷市の高齢化等の状況:砂原邦彦副・越谷市高齢介護課副主幹
・人口の推移データから見た越谷市の特徴。
*高齢化のスピードが極めて速い。高齢社会(14%)→超高齢社会(21%)の年数は全国平均:12年に対し、越谷:8年
・地域包括ケアシステムの構築状況:埼玉県の他自治体に先駆けて平成25年5月に医療、介護、民生・福祉、学識経験者の分野から15名の委員でワーキングチームを立ち上げ、12月から具体的な課題の検討を開始した。
・平成26年度の介護保険法改正:要支援者に対する訪問・通所介護事業が国から自治体に移行されたため、住民全体で介護予防活動を推進することが新たな課題である。
◆グループディスカッション
【第1グループ】
・地域の中で世代間ギャップを埋めるためにどうすればよいかを話し合った。
・地域の方針を決める自治会に現役の若い世代の参加が望めない現実がある。性悪説に基づいた米国では、個々が主張する欲求を全体でどう負担するかを決める場に参加することが不可欠だが、日本人は性善説に基づいて生きているため、志を持った人がやればそれでいいという風潮があり、自分が参加して責任を取るためには意識改革が必要である。
第2期「第16回政経セミナー特別講座」3
【第2グループ】
・77才の敬老祝金廃止で6,000万円の財源を浮かせた件、参加者の中に該当年齢に近い人が数人いたが、全員が賛成意見であった。
・災害時に誰を助ければ良いのかは、個人情報の開示が行われない現状では対応が難しい。自治会長や民生委員の情報をあてにしても、非常時にそこに頼ることは出来ず、普段からの隣り近所でのコミュニケーション作りが災害時の明暗を左右する。
【第3グループ】
・地域にいる高齢者が子供や若者を育成するために、男性を地域に引っ張り出すことが課題であるが、コミュニケーションを行うための人間関係の作り方が難しい。
・自治会館が協議の場になるが、自治会の構成員でないと使えないことが障害になっている。
【第4グループ】
・H26年度介護保険法の改正に伴い、地域で高齢者を支える仕組みが必要である。
・高齢化は悪いことではなく、地域の昼間人口が増えることを活かして皆の力を引き出すことが必要である。制度を変えることでは対応できず、自治会の果たす役割が大きい。
【第5グループ】
・感想で“与えられるより、与える立場に立ちたい”と全員が言ったことには驚いた。
・地域包括ケアシステムを充実させて、市民が多様な形で終末期を迎えられるような選択肢を持てるようにしたい

◆まとめ
・右肩上がりの時代の市民参加は、行政・市長、議会に陳情を行い、その結果がうまく行かなければ文句を言うものだった。成熟社会の現在では市民が当事者して参加して決定に責任を持つ時代になった。
・辻議員のツイッタ―問題、江原議員に対するセクハラ問題で、議会では賛否を巡る激しい議論の末、両方とも否決されたが、成熟社会を築いていくためにはこの結果を市民に公開して市民の判断を求める必要がある。
・パネルディスカッションで高齢化に関する具体的なデータが示されたので、市民は明らかになった給付と負担の関係から政策の判断することができるようになった。
・高齢化は暗いイメージを描くが、新しい現実に切り替えるチャンスでもある。誰しも施しを受けるだけでは自立できない。本日の講座で、市民が自分の将来を自分で切り開く時代に入ったことを共有できたことは大変有意義であった。
以上

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