埼玉政経セミナー主催 【特別講座№2】
新自由主義からの脱却と私たちの「自助・共助・公助」とは-ウィズコロナの社会構造の転換にむけて-開催報告
令和2年12月3日(水)、春日部市民活動センターにて、衆議院議員や地方議員をはじめ、ネットでの参加者を含めた70名弱市民が参加する中で開催されました。パネラーとして登壇予定であった小川淳也衆議院議員はコロナ感染を経験され、退院直後ということもあり、Zoomでの参加、高端正幸埼玉大学准教授は会場での講演となりました。小川議員からは菅政権を含め国会論戦の特徴(安倍政権との関連性を含めて)と、立憲民主党の新綱領の歴史的意義と衆議院選挙での野党共闘のあり方を、高端先生からは自助、共助、公助”と新自由主義の蔓延や自治体財政への影響等についてのご講演をいただき、代表の白川秀嗣越谷市議会議員をコーディネーターとしたパネルディスカッションがスタート。今回の議論の柱は、①コロナ禍は社会の何を顕在化させたのか、②“自助、共助、公助”と新自由主義の蔓延、③民主主義の復元力と今日的合意形成のあり方(特に自治の現場で)、④立憲民主党の新綱領と衆議院選挙の争点設定の4点でした。講演の詳細は、動画で公開されておりますので、そちらをご覧ください。ディスカッションでは、高端先生のお話にあったベーシック・サービス実現にむけた財源の調達についてもう少し深めていくうえで重要となる「具体的に受益感を高めるには?」という質問がだされ、税への信頼と安心が実感できなければこの先税金を払いたがる人は増えない。制度を変えるためには潤沢な財源が必要で、そのためには所得税他の税制度の見直しを行ったうえでやはり消費税は外せないが、その分教育だけでなく医療など、人間として「買うもの」ではないものに関しては、皆の税金、保険で賄い、すべての人に必要に応じて出すもの、税を全体としてどうとらえ、どう使うかをきちんと議論されるべきと提起されました。小川議員に対してはこのベーシック・サービスに関する税のあり方について、恐らく行われるであろう総選挙にむけて、野党共闘を進めていくうえでの政策としては、どのように整理し、国民に訴えていくかについて白川議員から質問があり、現状における自己責任の問われ方は暴力に等しいものである。公共空間を広げることに関してのコンセンサスは取れるだろうが、それにともなう税負担は、政治に対する信頼度の低い日本社会においてはまずそのギャップを埋めるしかなく、そこが大きな課題であるが、いずれにせよ政治と国民の共同作業によって前へ進めていかないと、次の時代には行けないとの説明がされました。会場の市民からは、医療費、介護保険や教育費に関して税金で賄われているのだという意識がとても低い国民であるという発言がありました。払っている医療費の7割は税金といわれるけれど、その半分は借金である。その内訳を可視化していくことで、自己負担、受益負担、将来負担を認識する、わかりやすいメッセージになる。また国民が学ぶ必要性ももっともで、まずは国民の政治に対する信頼性を高めること、その信頼できる政治を動かす政治家を選ぶのはその国の国民であるのだから、自分のくらしと政治がどう結びついているのかを若いうちから浸透させる、教育の現場における主権者教育の重要性が訴えられました。
参加者からは「自分で考える材料を提供するということが今回の大きなテーマであり、あとは自分が考え続けることを持続できるかが課題だと思った」「格差をとめる社会をめざすのか、格差を容認し拡大する社会でいいとするのか」が今回のシンポジウムの論点だった。提示されたことを自分でも練り直し、実行していくことに意味がある。」「「自己責任社会を終わらせるためのベーシック・サービス」なのか、「この閉塞した現在を乗り越えるためのベーシックインカムなのか」についてもさらに学び、考えたい。」「今までの価値観から転換する時代が来たことは高端先生の話で数値的によく分かったし、納得ができた。それを支える税の在り方は真剣に議論すべきことだと思うし大変な時だからこそみんなで支えるという感覚を醸成すべきだろう」という感想が出されました。
埼玉政経セミナーでは来年3月に研究発表会を行います。これは、会員各自が活動する地域における課題についてテーマを選び、調査や仲間との議論を重ねた結果を発表する勉強会です。当会は今後も課題は自分の課題であり、逆もまた然りです。だからこそ自らが動かなくてはとの当事者意識を持ち、自治の現場で考える続ける活動に取り組んで行きます。
12月3日特別講座アーカイブ
コメント